γ-Secretase Inhibitor / Substrate  

アルツハイマー病に関連するγセクレターゼの研究を強力にサポート

<阻害剤> γセクレターゼ(γ-Sec)は、βセクレターゼにより切断されたアミロイド前駆体蛋白質に作用し、アミロイドβ蛋白質(Aβ)を産生する酵素です。脳における Aβ の蓄積がアルツハイマー病発症の大きな原因の一つと考えられているため、近年 γ-Sec に関する研究が多く報告されています。その中で、今回 L-685,458 と DAPT を γ-Sec の阻害剤として発売しました。

γ-Sec の阻害剤として最も広く利用されている化合物の一つが L-685,458 で、抽出した γ-Sec を用いるアッセイ系(無細胞系)では、IC50 = 17 nM で Aβ の産生を強く阻害します。また、細胞を用いたアッセイ系(細胞系)での IC50 は 0.1~1 μM 程度である事が報告されています[Biochemistry, 39, 8698 (2000), Nature, 405, 689 (2000)]。

L685458

一方、DAPT は L-685,458 に比べ、細胞を用いたアッセイ系で高い有効性を示す事が特徴です(IC50 = 10 nM (無細胞系), 20 nM (細胞系))[J. Neurochem., 76, 173 (2001), J. Biol. Chem., 278, 16470 (2003)]。

DAPT

また、γ-Sec と同様のプレセニリン型の酵素であるシグナルペプチドペプチダーゼ(SPP)に対する両阻害剤の特異性に違いが認められ、L-685,458 はμMオーダーで阻害作用を示しますが、DAPT は100 μM でも作用しない事が報告されています[J. Biol. Chem., 278, 16528 (2003)]。SPP は C 型肝炎ウイルスの増殖に必須と考えられており、この点においても両者の違いは興味深いと考えられます(SPP 選択的阻害剤 (Z-LL)2 Ketone も発売しております)。

<蛍光基質> これまで、γ-Sec やその阻害剤の活性測定は、Aβ に対する抗体などを用いて Aβ の産生量を測定する方法が一般的でしたが、今回発売しました消光性蛍光基質 Nma-Gly-Gly-Val-Val-Ile-Ala-Thr-Val-Lys(Dnp)-D-Arg-D-Arg-D-Arg-NH2 を用いる事で、蛍光測定という簡便な方法により γ-Sec の活性測定が可能となりました[J. Biol. Chem., 278, 24277 (2003)]。その報告では、本基質を用いて、脳内の γ-Sec がプレセニリン・ニカストリン・Aph1・Pen2 の複合体である事を確認し、本基質の有用性を示しています。

これらの阻害剤や消光性蛍光基質は、未だ未解明の点が多い γ-Sec の研究に欠かす事のできないツールです。是非ご利用下さい。

コード 製品名 包装・容量
4394-v L-685,458 1 mg vial
3219-v (3,5-Difluorophenylacetyl)-Ala-Phg-OBut [DAPT] 5 mg vial
3217-v Nma-Gly-Gly-Val-Val-Ile-Ala-Thr-Val- Lys(Dnp)-D-Arg-D-Arg-D-Arg-NH2 1 mg vial


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