規定溶液の調製法

生理活性ペプチドの秤量と規定溶液の調製

コード番号4000番台のほとんどの生理活性ペプチド類は水または希酢酸水溶液から凍結乾燥したもので、吸湿性のある無定形粉末です。それらの粉末には本体のペプチド以外に少量の水と酢酸などが含まれています。このような吸湿性無定形粉末中のペプチド含量を正確に秤量することは容易ではありません。弊社ではこのような生理活性ペプチド類をお客様がご使用しやすいように、次に示す2種類の方式で包装し販売しています。以下コード番号4002 “Bradykinin” を例にとり具体的に両包装品を説明します。


Vial:(内容量標定済み包装品)

  1. Vial包装品にはコード番号の末尾にv(20 μg、50 μg、0.5 mg、5 mg包装)またはs(0.1 mg包装)印がついています。これらの印のついた商品は同じロット番号である限り各Vial瓶中には同一量のペプチドが封入され、カタログには次のように表示されています。
    4002 Bradykinin      Vial  0.5 mg
    Arg-Pro-Pro-Gly-Phe-Ser-Pro-Phe-Arg
    (M.W. 1060.2)

    0.5 mgという表示はこのVial瓶中に含まれているペプチドの重量の目安を表すものです。正確なペプチド含量は、弊社品質管理室において、アミノ酸分析、紫外部吸光度測定などの方法で厳密に定量しています。ラベル上にはVial瓶中のペプチド含量(例えば0.51 mg)、また、添付書中には含量に加えてモル数(例えば0.51 mg, 0.48 μmol)が示されています。

  2. 封入されたペプチドは、Vial瓶壁などに付着して一見非常に少ないように見えることがありますが、ラベルに示された定量値どおりのペプチドが封入されていることは責任を持って保証いたします。
  3. Vial瓶中の粉末を外に取り出してから溶かそうとしますと、せっかく厳密に測定したペプチド含量の定量値が信頼できなくなってしまいます。決してそのようなことは試みないで下さい。
  4. このVial商品をご使用いただく場合は、信頼できる容量目盛を持つ注射器などで一定量の溶媒を注入してペプチドを確実に溶解していただくだけで、直ちに既知濃度のペプチド溶液を調製することができます。添付書例(3000番台、4000番台をご覧下さい)。

Bulk:(粉末秤量包装品)

  1. 比較的大量のペプチドをご使用になる際に便利なように、無定形凍結乾燥品を乾燥剤上デシケーター中にて恒量になるまで減圧乾燥して秤量したものです。従って、各瓶のラベルに表示した重量には本体のペプチド以外にその中に含まれる水や酢酸などの重量も含まれています。ペプチドによっては塩酸あるいはアンモニアなどが含まれている場合もあります。これらペプチド以外の物質の含量は、元素分析やその他の分析法により厳密に測定し、その物質の構造式としてカタログ中に表示しています。
    4002 Bradykinin Bulk 100 mg
    Arg-Pro-Pro-Gly-Phe-Ser-Pro-Phe-Arg・
    2AcOH・3H2O
    (M.W. 1060.2・120.11・54.05)

    すなわち、Bradykinin ”Bulk” 100 mgには、Bradykinin 85.9 mg(100 mg x 1060.2/1234.4)、酢酸 9.7 mg(100 mg x 120.11 / 1234.4)、水 4.4 mg(100 mg x 54.05/1234.4)が含まれています。酢酸、水の含量はロット毎に変化する場合があります。ご使用ロットのペプチド中の各含量データが必要な場合はお問い合わせ下さい。

  2. 凍結乾燥により得られたペプチドの無定形粉末は吸湿性がありますので、重量を秤量する間にも空気中の水分を吸って次第に重くなります。従って、粉末の重量からペプチド含量を計算すると誤差が大きくなりますのでご注意下さい。
  3. “Bulk”粉末を用いたペプチド溶液の正確な濃度は、一定量をメスフラスコに秤量し溶媒を加えて溶かした後、溶液中のペプチド含量をアミノ酸分析、紫外部吸光度測定などの方法で定量して決定できます。


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