FRETS-VWF73  

期待の ADAMTS-13 特異的消光性蛍光基質が誕生

フォンビルブランド因子(von Willebrand factor, VWF)は、血小板凝集に重要な役割を果たす巨大血漿蛋白質(500-20,000 kDa)です。VWF の機能低下は出血性疾患であるフォンビルブランド病の原因となり、逆に、機能亢進による血小板過剰凝集は血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura, TTP)を引き起こします。

最近、血漿に存在するVWF切断酵素「ADAMTS-13」の機能低下が TTP の原因であることが明らかにされました。先天的あるいは後天的な要因で ADAMTS-13 活性が著減すると、異常高分子量の VWF が血中に蓄積し、これが細小血管で血小板を過剰凝集させるのです。

国立循環器病センター研究所の小亀らは、ADAMTS-13 の特異的基質となる最短領域が VWF の Asp1596-Arg1668 に相当する 73 残基であることを明らかにしました[Blood, 103, 607 (2004)]。さらに、切断部位周辺に蛍光基(2-(N-methylamino)benzoyl, Nma)と消光基(2,4-dinitrophenyl, Dnp)を導入した消光性蛍光基質 FRETS-VWF73(下図)の開発に成功しました。血漿と混合した FRETS-VWF73 の蛍光を経時的に検出することで、ADAMTS-13 活性を1時間以内に測定することが可能となりました[Br. J. Hematol., 129, 93 (2005)]。

FRETS-VWF

         FRETS-VWF73: ADAMTS-13 の特異的基質

TTP 症例には、類似症状を示す溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome, HUS)や播種性血管内血液凝固症(disseminated intravascular coagulation, DIC)との鑑別が困難な場合があります。TTP の確定診断の指標となる ADAMTS-13 活性を迅速に知るために、FRETS-VWF73 の貢献が期待されます。さらに、不明点の多い ADAMTS-13 の基礎研究にも大いに役立つと考えられます。

コード 品名 容量
3224-s FRETS-VWF73 0.1 mg vial


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