Ac-DNLD-CHO / Ac-DNLD-MCA
Caspase-3 特異的阻害剤および基質
現在、Caspase-3 阻害剤として使用されているペプチドアルデヒド誘導体は、Caspase-3 が認識する基質タンパク質の配列そのものに基づいたものであり、Caspase-3 阻害能および特異性において充分とは言えません。そこで、吉森、田沼ら((株)理論創薬研究所、東京理科大学薬学部)は、彼らが開発した in silico screening system [BMC Pharmacol., 4, 7 (2004), Biol. Pharm. Bull., 27, 968 (2004)] をテトラペプチド阻害剤の設計に適用し、Caspase-3特異的一次構造として、Asp-Asn-Leu-Asp (DNLD) 配列を見出しました。
その配列を有する阻害剤 Ac-DNLD-CHO を合成し、既存の阻害剤 Ac-DEVD-CHO と比較解析を行った結果、リコンビナント Caspase-3 及び蛍光基質 Ac-DEVD-MCA を用いた in vitro 活性測定法で、Ac-DNLD-CHO は、Ac-DEVD-CHO とほぼ同等の強い Caspase-3 阻害効果を示しました。更に、Ac-DNLD-CHO の Caspase-7, 8, 9 に対する阻害作用は Ac-DEVD-CHO の 1/7~1/180 程度であり、Ac-DNLD-CHO のCaspase-3 に対する極めて高い特異性が確認されました。また、 Jurkat 細胞を用いたアポトーシス誘導実験系(誘導剤:camptothecin、Anti-Fas 抗体)でも Ac-DNLD-CHO は Ac-DEVD-CHO と同等の阻害効果を示し、in vivo でもその有用性が確認されています。
Ac-DNLD-CHO と Ac-DEVD-CHO の Caspase 阻害作用の比較(IC50値)
Caspase-3 | Caspase-7 | Caspase-8 | Caspase-9 | |
Ac-DNLD-CHO | 3.2 nM | 22.6 nM | 577.6 nM | 364.7 nM |
Ac-DEVD-CHO | 1.3 nM | 2.9 nM | 2.4 nM | 2.5 nM |
一方、DNLD 配列を有する合成蛍光基質 Ac-DNLD-MCA も Caspase-3 に対して特異性を示すことが確認されており、今後、神経変性疾患に対する薬剤の開発やアポトーシス誘導機構の解明に、Ac-DNLD-CHO および Ac-DNLD-MCA が大きく寄与するものと期待されます。
コード | 製品名 | 包装・容量 |
3221-v | Ac-Asp-Asn-Leu-Asp-H (aldehyde) [Ac-DNLD-CHO] | 5 mg vial |
3220-v | Ac-Asp-Asn-Leu-Asp-MCA [Ac-DNLD-MCA] | 5 mg vial |