Bz-Arg-His-D-Asp-CH2Cl / Suc-D-Asp-MCA  

D-Aspartyl endopeptidase (DAEP) 特異的阻害剤および基質

従来、哺乳類の蛋白質やペプチドを構成するアミノ酸は全て L 型であると考えられていました。しかしながら、加齢と共に活性酸素などの老化ストレスにより、非酵素的に D 型アスパラギン酸(D-Asp)含有蛋白質が体内で生成することが明らかになり、アルツハイマー病(AD)、白内障、動脈硬化など種々の疾病との関連が指摘されています。

木野内らは、『こうした有害な D-Asp 含有蛋白質の排除機構が体内にあるのでは』との仮説の基に仕事を進め、蛋白質中の D-Asp 残基のカルボキシル側を特異的に分解する酵素を同定し、D-Aspartyl endopeptidase(DAEP)と名付けました[Biochem. Biophys. Res. Commun., 314, 730-736 (2004)]。その際、DAEP の活性測定には、蛍光基質 Suc-D-Asp-MCA (Km = 0.12 mM) が有用であり、また、Bz-Arg-His-D-Asp-CH2Cl が IC50 = 3 μM で DAEP を阻害することを明らかにしています。

DAEP は、肝臓、腎臓、脾臓、精巣、卵巣、脳などのミトコンドリア内膜に結合している高分子複合体であり、損傷蛋白質の品質管理をしていると考えられています。68-93才の正常脳と AD 脳における DAEP 活性を調査したところ、頭頂葉では AD 脳の方が、正常脳に比べ 20%程度 DAEP 活性が減少しているが、後頭葉では正常脳の方が AD 脳より、15%減少していることが明らかになりました。同時に、正常脳と AD 脳間に最大 2 倍以上の活性差があることも判明しています(側頭葉)。一方、大腸菌、酵母、線虫における DAEP 活性は検出限界以下であることも分かっています。以上のことから、DAEP は哺乳類などの長寿命生物において獲得された抗老化機構に深く関与するものと考えられます。

今後、老化に伴う D-Asp 含有蛋白質の性質の解析や関連する疾患に対する治療薬の開発に、Bz-Arg-His-D-Asp-CH2Cl および Suc-D-Asp-MCA が大きく役立つことが期待されます。

コード 製品名 包装・容量
3223-v Bz-Arg-His-D-Asp-CH2Cl 5 mg vial
3222-v Suc-D-Asp-MCA 5 mg vial


Scroll to top