Stresscopin & Urocortin Information
CRF 2型受容体に選択性の高いリガンド 見つかる!
Corticotropin-Releasing Factor (CRF) は視床下部から分泌され、脳下垂体からACTH を放出させる。ACTH は副腎の皮質に働き、ステロイドホルモンを分泌させる。CRF はこの一連の流れを起動することにより、ストレス等に対応していると考えられている。この CRF に対する受容体は、Gタンパク共役型で、1型と2型の2種類が報告されている。CRF1型受容体は先に述べた急性ストレス応答に携わる。2型受容体はスト レスから引き起こされる、不安解消、食欲不振、血圧低下等に携わっているとされる。一方、1型受容体の特異的なリガンドとしては CRF がある。最近、哺乳類に発見された Urocortin (UCN) は魚類の Urotensin I に構造が似ている事から命名された[Endocrinology, 137, 2167 (1996)]。この UCN は CRFより強力で、2型受容体のリガンドとして初めて紹介されたが、2型受容体に対する選択性はそれほど高くない事がわかってきた。
Hsuらは、CRF2型受容体の内在性リガンド候補をホモロジー検索しCRF2型受容体に選択的なリガンド Stresscopin (SCP) と Stresscopin-Related Peptide (SRP) を見つけた[Nat. Med., 7, 605 (2001)]。この2つのペプチドをコードする遺伝子は、中枢神経系のみならず末梢組織にも広く発現していた。また、合成 SCP と SRP はACTH の分泌を促進させることなく、食物摂取の抑制、胃内容物排出の遅延、熱により引き起こされた浮腫の軽減等の作用を示した。
この報告と相前後して、UCN と相同性を持つマウス Urocortin II (UCN II)、さらにヒトUCN II、UCN III が報告された[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 98, 2843 (2001), ibid., 98, 7570 (2001)]。これらの構造は下記に示すとおりであり、UCN II は SRP の、また、UCN III は SCP の一部である。この UCN II とUCN III はSRP やSCP と同様、CRF2型受容体に強く結合するが1型受容体には結合しない。また、摂食抑制作用も示した。
UCN II (Mouse): | ||||
VILSLDVPIG | LLRILLEQAR | YKAARNQAAT | NAQILAHV-NH2 | |
UCN II (Human): | ||||
IVLSLDVPIG | LLQILLEQAR | ARAAREQATT | NARILARV-NH2 | |
SRP (Human): | ||||
HPGSR | IVLSLDVPIG | LLQILLEQAR | ARAAREQATT | NARILARV-NH2 |
SCP (Human): | ||||
TK | FTLSLDVPTN | IMNLLFNIAK | AKNLRAQAAA | NAHLMAQI-NH2 |
UCN III (Human): | ||||
FTLSLDVPTN | IMNLLFNIAK | AKNLRAQAAA | NAHLMAQI-NH2 |
これらのリガンドは遺伝子解析から発見されたもので、生体内でどのペプチドが最も重要であるか等を含めた生化学的な研究が待たれている。いずれに してもCRF2型受容体に選択的な新しいリガンドは、ストレス関連疾患を含める種々の研究の新たな展開に重要なツールとなると期待されている。
コード | 製品名 | 包装・容量 |
4387-s | Stresscopin (Human) | 0.1 mg vial |
4388-s | Stresscopin-Related Peptide (Human) | 0.1 mg vial |
4383-s | Urocortin II (Mouse) | 0.1 mg vial |
関連製品
コード | 製品名 | 包装・容量 |
4328-s | Urocortin (Human) | 0.1 mg vial |
4327-s | Urocortin (Rat) | 0.1 mg vial |
4136-s | CRF (Human, Rat) | 0.1 mg vial |
4111-s | CRF (Ovine) | 0.1 mg vial |