Ghrelin  

[新しいタイプの内因性成長ホルモン分泌促進ペプチド見つかる!]

成長ホルモン放出作用を持つ内因性物質にはアミノ酸44残基からなる growth-hormone-releasing factor (GRF) があり、視床下部から放出されます。これに対し、アミノ酸5残基からなる enkephalin 類似の合成ペプチドに in vitro で成長ホルモン放出作用があることがわかっていました。さらに、in vivo でも活性があり、天然には存在しないペプチド (GHRP-6) も合成されました [Cell. Mol. Life Sci., 54, 1316 (1998)]。一方、非ペプチド性の低分子化合物も合成され、成長ホルモン分泌促進作用を持つものが見いだされました [Science, 260, 1640 (1993)]。これらの成長ホルモン分泌促進作用を持つ一群の化合物は growth-hormone secretagogues (GHSs) と呼ばれ、その受容体は G 蛋白共役受容体であることも判明しました。最近の GHS 受容体クローニングの研究から、内因性のリガンドが存在し、しかもその分泌調節機構は GRF とは異なっていることがわかっていました [Endocrinology, 132, 1286 (1993)]。

ghrelin-h-r

この内因性リガンドに強い関心が向けられていましたが、国立循環器病センターを中心とするチームは GHS 受容体に特異的なリガンドをラットの胃から精製、同定しました [Nature, 402, 656(1999)]。このリガンドはアミノ酸28残基からなるペプチドで、3番目の Ser 残基が n-octanoyl 化されています。このペプチドは “grow” のインド-ヨーロッパ 祖語である[ghre: 成長] にちなんで ghrelin と命名されました。また、ヒトの ghrelin の構造はラットとアミノ酸2残基が異なることもわかっています。化学合成した ghrelin は nmol オーダーの用量で、GHS 受容体を発現させた CHO 細胞の細胞内 Ca2+上昇活性や、初代培養下垂体細胞で成長ホルモンの放出活性を持つことがわかっています。この作用発現には Ser 残基が n-octanoyl 化されていることが必須です。in vivo でもラットにおいて血中成長ホルモンを上昇させます。Ghrelin は血中にも存在し、また mRNA は胃に顕著に存在することから、ghrelin は胃で産生され、血中を介して下垂体に運搬された後に作用を発現している可能性があり、新しいタイプの成長ホルモン分泌促進ペプチドと考えられ、その生理 的役割の解明を含めた今後の展開に関心が高まっています。

コード 製品名 包装・容量
4372-s Ghrelin (Human) 0.1 mg vial
4373-s Ghrelin (Rat) 0.1 mg vial
4127-s GRF (Human) 0.1 mg Vial


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