Apelin ヒトAPJ 受容体の内因性リガンド  

[Orphan receptor を使って,また 新規ペプチド見つかる!]

遺伝子技術の進歩により、多くの G 蛋白共役型受容体が見つかっています。これらのうち内因性のリガンドはまだ不明にもかかわらず、諸情報から受容体と認められるものは一般に orphan receptor と呼ばれています。最近報告された nociceptin [Nature,377, 532 (1995)] / orphanin FQ [Science,270, 792 (1995)], orexin [Cell,92, 573 (1998)] などは orphan receptor を使って発見されたペプチドです。

apelin

武田薬品工業では、これまで orphan receptor のリガンドを同定する種々の方法を開発し、1998年5月に新規生理活性ペプチド Prolactin-Releasing Peptide (PrRP31) を発見しました[Nature, 393, 272 (1998)]。今回、群馬大学・生体調節研究所との共同研究により、ヒトに発現する orphan receptor の1つである APJ 受容体の内因性リガンドの探索を進めた結果、ウシの胃から新たなペプチドを分離精製しました。さらにこのペプチドをコードするウシおよびヒト遺伝子を同定 しました[Biochem.Biophys.Res.Commun., 251, 471 (1998)]。この APJ 受容体のリガンドは 36アミノ酸から成る新規生理活性ペプチドでした。また同ペプチドは APJ 受容体の内因性リガンドとして機能することから Apelin-36 と命名されました。さらに、Apelin-36の C-端 13残基のうち、24位の Gln を Pyr に置換した[Pyr1]-Apelin-13 は Apelin-36 より約60倍強い活性を持つことがわかりました。

Apelin は APJ 受容体と結合することによりさまざまな作用を示すことが推定されます。この APJ 受容体はヒトの chromosome 11 に存在し、その膜貫通領域は angiotensin (AT1) 受容体と40-50% のホモロジーがあります[Gene, 136, 355 (1993)]。その mRNA は中枢神経系や血中の単核細胞に発現していることから、Apelin を用いて未知の生理的役割の解明につながるものと期待されています。最近、APJ 受容体がエイズウイルスの感染にも関与しているとの報告もあり[J.Virol., 72, 6113 (1998)]、Apelin は抗 HIV (human immunodeficiency virus) 薬としての候補の可能性もあると注目されています。

コード 製品名 包装・容量
4362-s Apelin-36 (Human) 0.1 mg vial
4361-v [Pyr1]-Apelin-13 0.5 mg vial


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