Prolactin-Releasing Peptide (プロラクチン分泌促進ペプチド)  

[またしてもOrphan receptorから脳内ペプチド見つかる!]

遺伝子技術の進歩により、多くのG蛋白共役型受容体が見つかっています。これらのうち内因性のリガンドはまだ不明にもかかわらず、諸情報から受容体と認められるものは一般に orphan receptor と呼ばれています。最近報告された nociceptin [Nature, 377, 532 (1995)] / orphanin FQ [Science, 270, 792 (1995)], orexin [Cell, 92, 573 (1998)] などは orphan receptor を使って発見されたペプチドです。

prrp-31

ところで、脳の下垂体前葉ホルモンには、成長ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、濾胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモンなどの重要 なホルモンがあります。これら下垂体前葉ホルモンの分泌は、それぞれのホルモンに対応する視床下部のペプチドホルモンによって制御されています。またその 受容体はすべて G 蛋白共役型であることも判っています。下垂体前葉ホルモンには上記以外にプロラクチンがあります。このプロラクチンは妊娠の維持や泌乳、乳腺の発育、乳汁 の合成に重要なホルモンですが、その分泌を特異的に制御する視床下部ホルモンはこれまで不明でした。

最近、武田薬品工業の日沼らは、ヒトの下垂体で発現する orphan receptor を単離し、視床下部中に存在するリガンドを探求した結果、アミノ酸残基31個で、C 末端がアミド化されているペプチド Prolactin-Releasing Peptide (PrRP31) を発見しました[Nature, 393, 272 (1998)]。彼らは合成した PrRP31 を用い、ラット下垂体前葉細胞からの用量依存的なプロラクチン放出を観測しました。この PrRP31 は他の下垂体前葉ホルモンの分泌には何ら影響しません。ところで VIP, oxytocin, substance P, neurotensin, vasopressin, PACAP, galanin などは in vitroin vivo でプロラクチン放出を促すことが知られています。これらのペプチドはラット下垂体前葉の初代培養細胞ではプロラクチン放出を示さないものの、PrRP31 はプロラクチン放出を引き起こしました。このことから、PrRP31は直接作用により放出を引き起こすと考えられています。

この選択的なプロラクチン分泌促進ペプチドを使用することにより、プロラクチン分泌の複雑なメカニズムが解明されるものと期待されています。

コード 製品名 包装・容量
4352-v Prolactin-Releasing Peptide (Human) 0.5 mg vial
4353-v Prolactin-Releasing Peptide (Rat) 0.5 mg vial


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