Nocistatin (ノシスタチン) – 新たなる生理活性ペプチド発見!
[Nociceptin precursorからnociceptin拮抗ペプチド見つかる]
Nociceptin[ノシセプチン;Nature, 377, 532(1995)]/ Orphanin FQ[オルファニン FQ;Science, 270, 792(1995)]は遺伝子技術を駆使して見つかった新しいペプチドで、dynorphin A と高い類似性があります。しかし、オピオイドペプチドと異なり鎮痛作用は無く、逆に hyperalgesia(痛覚過敏)やallodynia(異常な痛み;軽い触覚刺激に対しても激痛を感じる)等の作用が報告されています[Brit.J.Pharmacol., 121, 401 (1997)]。
ところで、preprodynorphin からneoendorphin, dynorphin B が切り出されるのと同様に、nociceptin precursor から全く新しい作用を持つペプチドが出現する可能性もあると指摘されていました。我々のグループは precursor の部分ペプチドを化学合成し、in vivo での生理活性作用を調べる手法により、nociceptin 拮抗作用を持つ Nocistatin(ノシスタチン)を見つけました[Nature, 392, 286 (1998)]。さらに、ウシ中脳の抽出物から Nocistatin を単離、構造決定し、内因性に存在することを確認しました。この Nocistatin はピコグラムの低用量で nociceptin の hyperalgesia や allodynia 作用を阻害します。
この様に nociceptin precursor から2つの、しかも相反する作用を持つ生理活性ペプチドが見つかったことは非常に興味深いことです。また、ORL1 受容体は脳の広い部分に分布しているので、単に痛みだけでなく、行動・記憶・学習にも関与している可能性もあり、今後の研究の展開に期待が集まっています。
コード | 製品名 | 包装・容量 |
4336-v | Nocistatin (Bovine) | 0.5 mg vial |
4355-v | Nocistatin (Human) | 0.5 mg vial |